もしも大谷翔平がWBCに出場していたら

もしも大谷翔平がWBCに出場していたら

「もしも大谷翔平(日本ハム)がWBCに出場していたら」をテーマに、第4回WBC(ワールドベースボールクラシック)を振り返る。

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    gooスポーツ編集部
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 第4回WBC(ワールドベースボールクラシック)に出場した侍ジャパンは前回大会に続いて準決勝で敗退した。敗退したと言っても世界の4強である。決勝に進出したプエルトリコ、アメリカだけでなく、メジャーリーガーがドミニカ、オランダ、ベネズエラなどに分散することによって世界の勢力図は確実に変わった。

 第1回大会準優勝のキューバが2次ラウンド、第2回大会準優勝の韓国が1次ラウンドで敗退し、それに代わって日本と同グループの中で台頭したのはイスラエルやオーストラリアだった。そういう変化する世界の勢力図の中で日本は4大会連続して準決勝に進出しているのである。これは称賛に価する。

 今回の侍ジャパンの中でメジャーリーガーは青木宣親(外野手・アストロズ)だけである。野手のイチロー(外野手・マーリンズ)、川﨑宗則(内野手・カブス)も、先発投手のダルビッシュ有(レンジャーズ)、田中将大(ヤンキース)、岩隈久志(マリナーズ)、前田健太(ドジャース)も、リリーフ投手の上原浩治(カブス)、田澤純一(マーリンズ)も代表を辞退している。

 思い返せば、過去の大会で当時メジャーリーガーだったのは第1回大会がイチロー(当時マリナーズ)、大塚晶則(レンジャーズ)の2人、第2回大会は日本チームとしては史上最多となる松坂大輔(レッドソックス)、城島健司(マリナーズ)、岩村明憲(レイズ)、福留孝介(カブス)、イチロー(マリナーズ)の5人が集結したが、第3回大会は0人、そして今大会は1人しかおらず、それでも侍ジャパンは好成績を挙げ続けている。それだけ見てもセ・リーグとパ・リーグの12球団で日常的に行っているプロ野球のレベルの高さがわかる。

 さて、ここで考えたいのが、「もしも大谷翔平(日本ハム)がWBCに出場していたら」だ。結果として、大谷翔平が出場しなくてよかったといえる。大谷の投打の実力は今更ここで述べるまでもなく、投打ともプロ野球のトップクラスに君臨している。2015年に投手として最多勝、最優秀防御率、最高勝率のタイトルを総なめにし、16年に最優秀選手(MVP)に輝いている。だが一流選手としての実績はまだ2年間だけである。

「3年続けてタイトルを獲るような成績を挙げて初めて一流と認められる」

これは、タイトルを獲得したプロ野球選手の常套句である。大谷は確かに凄いが一流のキャリアはまだ2年しかないじゃないか、という思いは侍ジャパンに選出されるくらいの選手なら誰でも持っていると思う。

 それでも大谷が侍ジャパンとして参加していたらテレビもネットも新聞も雑誌も、マスコミというマスコミは大谷にスポットライトを当て、WBCを報道していただろう。そして、大谷以外の選手の気持ちの中に「一流のキャリアが2年しかないのに~」という思いがあれば、チームの中に好ましくない空気が漂い始めるのは当然である。

 第1回大会のとき、もしイチローが代表を辞退していたらチームに与える衝撃は深刻だったと思う。MLBで毎年首位打者のタイトル争いをするような選手である。頼りにしていた柱がポキッと折れたような喪失感に襲われただろう。しかし、大谷の出場辞退でそういう喪失感が生まれたとは聞いたことがない。そして、日本チームは1次ラウンド、2次ラウンドを無敗で通過して、準決勝で敗れたと言ってもメジャーリーガーが顔を並べるアメリカ代表に1対2の大接戦を演じたのである。

 大谷が万全の体調で今大会に参加していたら、165キロを計測した剛速球にアメリカのマスコミも飛びついただろう。しかし、大谷が決勝まで連れて行ってくれたかもしれない反面、2次ラウンド敗退の戦犯になっていたかもしれない。それは誰にもわからない。

 ただ、1つだけ確かなことは大谷がいなくなったことによって喪失感より連帯感が生まれたことだ。そして、筒香嘉智(外野手・DeNA)、中田翔(一塁手・日本ハム)の主軸だけでなく、試合ごとにヒーローが出現した。菊池涼介(二塁手・広島)、山田哲人(二塁手&指名打者・ヤクルト)、坂本勇人(遊撃手・巨人)、小林誠司(捕手・巨人)の野手陣、千賀滉大(ソフトバンク)、菅野智之(巨人)、牧田和久(西武)、平野佳寿(オリックス)の投手陣たちである。

 2021年の第5回大会までに大谷が日本のプロ野球、あるいはMLBで盤石の実績を積み上げていれば侍ジャパンに選出されたメンバーが寄せる期待は大きく、チームからいなくなればその喪失感は計り知れないものになると思う。しかし、今の大谷は一流選手としては依然として未熟で、その割にはマスコミからの注目が大きすぎるのである。そういう存在はチームワークに必要なものではない。今大会、大谷が出場を辞退してくれてよかったと思っている。

【寄稿】 by 高校野球ドットコム 小関順二

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