選抜ベスト8に導いた福岡大大濠・三浦銀二の成長の軌跡を追う

選抜ベスト8に導いた福岡大大濠・三浦銀二の成長の軌跡を追う

3月19日から開幕した第89回選抜高等学校野球大会も、いよいよ本日クライマックス・決勝戦を迎える。その中でファイナルを迎えるまでに、高校野球ファンに印象を与えたヒーローを紹介したい。

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    gooスポーツ編集部
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秋に投球フォームを変えて、制球力アップ

 3月19日から開幕した第89回選抜高等学校大会も、いよいよ本日クライマックス・決勝戦を迎える。その中で今大会、ファイナルを迎える前に、高校野球ファンに最も印象を与えたヒーローを紹介したい。
 報徳学園を苦しめた福岡大大濠のエース・三浦 銀二(3年)である。チームを選抜ベスト8に導き、3試合で475球を投げ抜いた鉄腕だ。

 今大会登場した32校の中で最も完成度が高く、且つ力がこもった投球を魅せてくれた三浦だが、実は昨秋の公式戦では、制球力に苦しんでいた。

 福岡県大会では優勝を決めるも、「コントロールが悪く、苦しい投球でした」と、大会後に振り返った三浦。その転機となったのは、九州大会前に行われた明徳義塾との練習試合であった。この試合前、三浦は今までのセットポジションからの投球をワインドアップに変える決断をした。
 
 結果、明徳義塾戦では「フォームがだいぶしっくりしたものになった」と、3失点完投勝利。
 この試合では課題のコントロールも改善され、本人も結果・内容共に手応えを得た。そして三浦は、九州大会で36イニングを投げ、3失点で福岡大大濠の優勝に貢献。明治神宮大会でもベスト4入りを果たし、一躍全国レベルの右腕となった。

延長再試合を制して、8強進出

 冬は基本的な体づくりを行い土台固めに努め、万全の状態で臨んだセンバツ。1回戦の創志学園戦では自己最速146キロを計測し、149球3失点完投勝利。2回戦の滋賀学園戦で、三浦のピッチングはさらに加速する。

 140キロ~145キロ前後の速球を両サイドへ投げ分け、手元で切れるスライダー、チェンジアップも低めに集め、延長戦となっても140キロ台をマーク。無尽蔵のスタミナも披露。福岡大大濠が何度もサヨナラ負けのピンチを迎えながらも延長再試合に持ち込むことができたのは、三浦の投球の完成度・精神力の強さがあってこそだろう。

 三浦のタフネスぶり・クレバーさは中1日空けての延長再試合でも発揮された。立ち上がりはストレートの球速も130キロ中盤にとどまったが、6回裏に女房役・古賀 悠斗(3年)の勝ち越し本塁打が飛び出すと、7回からは140キロ台のストレートを連発し3失点完投勝利。チームをベスト8に導いた。

 この過程こそが、冬のトレーニングで培ったスタミナと、三浦の再現性が高いフォームによって成り立ったものと言えるだろう。特にフォームについては始動からフィニッシュまでの流れに無駄がなく、下半身主導の動きで投げるので、肩、ひじへの負担が少ない。

 加えて、指先にしっかりと力が伝わったリリースができるため、140キロ前半でも球速表示以上と感じさせるストレートを意図通り・力の加減もしながら投げることができる。その部分で三浦 銀二の投球は高校球児にとってお手本となる形と言えるだろう。
  準々決勝・報徳学園戦では登板を回避。チームの敗戦をベンチから見守った三浦銀二。しかしこの3試合の熱投は、多くの甲子園ファンに強い感動を与えた。

 今大会、福岡大大濠と同じくセンバツベスト8に入った東海大福岡はじめ、夏の福岡大会でのライバルは数多いが、願わくば彼がもう一度甲子園マウンドに立ってほしいと思うのは、甲子園のスタンドだけではないはずだ。

【寄稿】 by 高校野球ドットコム

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