えのきどいちろうの超・大谷翔平ウォッチング!

えのきどいちろうの超・大谷翔平ウォッチング!

(写真提供・ゲッティ=共同)

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    gooスポーツ編集部
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 ロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平が2018年4月第1週(2~8日)のア・リーグ「プレイヤー・オブ・ザ・ウィーク」に選ばれた。投手成績は2勝、打者成績は13打数6安打、打率4割6分2厘、3本塁打、7打点。もちろん2刀流での選出は同賞初。読者の皆さんも毎日、胸躍らせたことだろう。最高の1週間だった。これから大谷がMLBでどんなドラマを巻き起こすにしても、この奇跡のデビュー週は永遠に語り継がれる価値がある。

 当然、大谷翔平の新本拠地、ロサンゼルスのファンは沸騰している。ヤンキースやレッドソックスでの活躍に比べて、全米級のインパクトはこれからかなぁと思っていたら、少なくともベースボールファンの間では爆発的な人気だ。といって幸福感の点で、僕ら日本のファンもひけを取らないんじゃないか。この感じは覚えておきたい。時差の関係で毎朝目覚めると夢のようなことが待っているのだ。奇跡は朝起きた。朝っぱらから友達のLINEメッセージがじゃんじゃん届くのだ。「祝・大谷くん初登板勝利!」「すげぇ、大谷ホームラン!!」「マジか、大谷2試合連続ホームラン!」「3試合連続ホームラン、すごすぎる!!!」「うわー、大谷くん6回までパーフェクト継続中!!」

 自分が何かやってるわけでもないのに誇らしいような、くすぐったい気分だった。つまり最高に幸せだった。僕らがそうであったように、たぶん大谷翔平はアメリカ人の野球観を変えてしまうだろう。「ベーブルース以来の2刀流」はもちろん、「大金をみすみす逃すマイナー契約での移籍」は驚異的な出来事だ。誰もがこの「夢を追いかける野球が好きな若者」を応援したくなる。また国際映像での大谷が本当に楽しそうなのだ。それは結果が出なくて「マイナー契約なのだからマイナーから出発すべきだ」と書き立てられたオープン戦の時期から一貫している。大谷は強力な相手と対峙するのが心底嬉しいのだ。

 で、もちろんいきなりの大活躍だから日本国内でも絶賛の嵐だ。『サンデーモーニング』(TBS系)の張本勲氏ですら「まぐれなのかアメリカの投手のレベルが落ちたのか、両方あると思うけども、3試合連続(ホームラン)というのは珍しい。2試合はあるのよ」「10本は打ちますよ。投手のほうを期待してるんですけどね。(ベーブルースの)当時より試合数が増えたし、10勝10本じゃ意味がない。15勝20本以上、これで大あっぱれ! 可能性はなくはない」と海外に興味を示さないこの人としてはポジティブな反応だ。日本ハムでNPBデビューしたとき、あれほど多かった「2刀流否定派」もおとなしくしている。

 僕は順調にスタートを切って本当によかったと思った。スタートがいちばん難しいでしょう。最初につまづくと、否定派や懐疑派が「そもそも無理なんだ」と言ってくる。といって違うステージ、違うリーグ、違うボール、違う相手へのアジャストは簡単なことじゃない。そういうことも含めて大谷翔平は本当に「持っている」。
 
 ところで日本国内の反応で僕が面白いなぁと思っているのは、日本ハム・栗山英樹監督だ。こう、ツンデレというのだろうか、MLB初アーチにも「普通よ、普通」、パーフェクト達成未遂(?)だったMLB2勝目にも「結果に関しては普通」「安打を打たれてる場合じゃない。普通だな」と記者にコメントしている。まぁ、2刀流の生みの親というのか、この人がドラフトで強行指名に踏み切り、口説き落とさなかったらたぶん大谷は違う野球人生だった(僕は高卒で米マイナー挑戦して、投手一本で使われてたと思う)わけで、ご本人としても「誰よりも翔平の力量を知ってるのは自分だ」という自負がある。あるいはそう振る舞うことを番記者が期待している。どんな快挙にも「ツン」の態度を崩さず、「(あいつとしては)普通」と言い続ける。これはどこまで行くのだろう。

 いや、僕としては安直に「デレ」へ移行してほしくない。もう、ノーヒッター達成とかオールスター快刀乱麻とか、4打席連続ホームランとか、破格の出来事が続いても「普通」と言い続けてほしい。顔が上気してるから本心は十分わかる。が、「ツン」で頑張れ。あくまで「ツン」。もう、引っ込みがつかなくなって、パーフェクト達成&満塁ホームランとかでも「初球をファウルしたでしょ。普通」で通してほしい。いつか、ワールドシリーズ制覇なのかサイヤング賞なのかわからないが、涙目で栗山さんが「普通」と言う姿が見たい。一度始めたことは貫くこと!

 これから隔週コラムで大谷翔平とMLBをウォッチすることになった。栗山さんのいう「普通」の大谷をガンガン書いていきたい。さぁ、僕らも冒険の旅立ちだ。本当に楽しみじゃないか。

<えのきどいちろうプロフィール>
1959年、秋田県生まれ。コラムニスト。中央大学時代に仲間と創刊したミニコミ誌『中大パンチ』の原稿が『宝島』編集者の目に留まり、商業誌デビュー。以降、各紙誌にコラムやエッセイを執筆。網羅するジャンルは多岐に渡り、特に多くのスポーツコラムを連載。ラジオのパーソナリティーとしても文化放送、TBSラジオに出演中。

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