大谷はセンターの岩場にしかホームランを打っちゃいけない契約なのか

大谷はセンターの岩場にしかホームランを打っちゃいけない契約なのか

えのきどいちろうの超・大谷翔平ウォッチング!(8) (写真提供・共同通信社)

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    gooスポーツ編集部
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 このタイトルを見て、クスッとなった読者のあなたはかなりの大谷翔平通だと思う。僕は野球好きの仲間とわざわざJR田町駅前、森永エンゼル街(森永プラザビル)の店「大乃」に集まって、エンゼルス大谷を語る「田町エンゼルス」という飲み会を不定期で開催している。ちなみに「大乃」は大洋、巨人、ヤクルトで活躍された大野雄次さんの店だ。その飲み会の主要メンバー、Mさん(東京ヤクルトスワローズのユニホームをデザインしたりした人)が今年ずっと言い続けてるネタがこれなのだ。

 「大谷はエンゼルスタジアムのセンターの、あの岩場みたいになってるところにしかホームラン打っちゃいけない契約なんだと思う」

 7月23日(日本時間24日)のホワイトソックス戦で、大谷は後半戦最初となる8号ソロホームランを放った。これが推定距離133メートルのセンターオーバー弾だったのだ。面白いことに大谷が打った8本のホームランはすべて本拠地エンゼルスタジアムばかりである。それが森永エンゼル街に集まった物好きにはまずたまらない。本人は「ビジターでももちろん打てれば良いのかなとは思うんですけど、何となく雰囲気だったりとか、そういうものかなと思います」とコメントしている。こうなって来ると「初のビジター球場ホームランはどこだ?」が飲み会で議論になりそうな気配だ。フツーに考えれば同じア・リーグ西地区4球団(アスレチックス、マリナーズ、アストロズ、レンジャーズ)の本拠地になる可能性が高いけれど、日程的には8月初旬のレイズ戦(セントピーターズバーグ)、インディアンズ戦(クリーブランド)が怪しい。

 話題がずれた。なぜホームランがセンターオーバーばっかりか。契約か。あそこしかダメな契約か。あるいはあの岩場に打つと「岩場ポイント」が貯まって、10ポイントに到達すると岩がパカッと割れて天使が記念品をくれる仕組みか。大谷ウォッチャーとしてはすごく興味深いのだ。何しろ「大谷シフト」は極端に右に寄った、いわゆるプルヒッター用のシフトである。といってファイターズ時代を思い起こしてみると、大谷のホームランは逆方向、レフトスタンドに放り込んでいた印象が強い。

 僕はNPB時代のバッティングより、ひと呼吸、タイミングが早くなった気がしている。それはよく言われる「ノーステップ」(本人はノーステップ打法ではないと否定しているが)のせいかもしれないし、別の技術的要因かもしれない。とにかくNPB時代より手元まで呼び込まず、スパッと反応している。その反応力の成果がセンターオーバーになっている。

 センターオーバーのホームランは外野手が追うかあきらめるかが見どころだ。両翼のホームランと比べて、センターは「打った瞬間あきらめる」が少ない。いちばん深く、距離があるのだ。ところが大谷のホームランはロケットみたいにギューンと伸びていく。MLBのセンターがあっさり見送っている。あれは痛快だなぁ。

 「岩場のホームラン落下地点をすべてなぞってみたら『A』になってると思います」

 「田町エンゼルス」のMさんはそう主張する。さすがにそれはどうなのかなぁ。案外、「大乃」の飲み会メンバーより、当コラムの読者のほうが賛同してくれたりして。

 それだけケガ明けの大谷翔平はポジティブなムードに包まれているということだ。約1ヶ月半に及ぶブランクから戻り、今年は打者専念かなと思っていたら、何と再検査の結果、投球にもGOサインが出てしまった。さっそくキャッチボールを開始し、投げる感触を取り戻しつつある「投手大谷」だ。復活登板は経過を見ながらになるが、9月初旬が有力視されている。

 一方、「打者大谷」は全開だ。初対決で牛耳られたバーランダー(アストロズ)に対し、21日(日本時間22日)の試合で第1打席セーフティバントを試み、第2打席でライトに2塁打を放った。バーランダーvs大谷。名勝負数え唄の予感である。また24日(日本時間25日)、ホワイトソックス戦前のフリー打撃では、推定120メートル弾でライト後方の電光掲示板を「破壊」している。電光板は広告だったが、クライアント企業は良い宣伝になったと思う。たぶん「田町エンゼルス」のMさんならこう言うと思うのだ。あぁ、また森永エンゼル街に集まらないといけないなぁ。

 「フリー打撃は文字通りどこへ打ってもフリーです。だけど、公式戦のホームランは岩場だけにしとけという契約だと信じます」

<えのきどいちろうプロフィール>
1959年、秋田県生まれ。コラムニスト。中央大学時代に仲間と創刊したミニコミ誌『中大パンチ』の原稿が『宝島』編集者の目に留まり、商業誌デビュー。以降、各紙誌にコラムやエッセイを執筆。網羅するジャンルは多岐に渡り、特に多くのスポーツコラムを連載。ラジオのパーソナリティーとしても文化放送、TBSラジオに出演中。

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