初ものづくしの敵地ホームラン、大谷はこうして大人になっていく

初ものづくしの敵地ホームラン、大谷はこうして大人になっていく

えのきどいちろうの超・大谷翔平ウォッチング!(9) (写真提供・共同通信社)

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    gooスポーツ編集部
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 大谷翔平がついに敵地でホームランをかっ飛ばした。それも2打席連続だ。当コラムが出題(?)した「初ビジターホームランクイズ」の正解はプログレッシブフィールド(クリーブランド)であった。今週のコラムは大谷をめぐる様々な「初」ものづくしということになる。但し、嬉しいことばかりとはいかないようだ。

 まず敵地の2打席連発から景気よく行こう。8月3日(日本時間4日)のインディアンス戦、相手投手は若手右腕のクレビンジャー。この試合、大谷は渡米して初めて「3番・DH」に入ったのだ。トラウトが右手首を痛め、欠場している関係もあっただろう。相手は足をからめて得点をもぎ取ってくる好調インディアンスである。「打ち負けない&走り負けない」を主題に据えると大谷を3番で使いたくなる。

 第1打席は1死一塁にランナーを置いて、レフトスタンドに先制の第10号2ランを放つ。これが僕のようなファイターズファンには懐かしい「逆方向に押し込み、伸びていくホームラン」だった。ちなみに日ハム時代、大谷は通算48本ホームランを放っているが、そのうち11本がレフトスタンドだった。全体の2割強だ。メジャーで「初レフトスタンド」というほうが驚きなのだ。

 「初3番」「初敵地」「初レフトスタンド」の第10号には面白いこぼれ話があって、このプログレッシブフィールドという球場がクセモノなのだ。ここはホームから外野を一望すると笑ってしまう。ライトフェンスとレフトフェンスの高さが違うのだ。こう、センターの辺りで段違いになっている。まぁ、MLBには左右非対称の球場がけっこうあって(代表例はフェンウェイパークの「グリーンモンスター」)、それが本拠地チームのプレースタイルに関係している。つまり、大谷はわざわざレフトにホームランの出にくい球場で「初敵地&初レフトスタンド」アーチを架けたのだ。

 第2打席は「初1試合2発」となる第11号ソロだ。フルカウントからの6球目、ストレートを振り抜いて、今度はライトスタンド中段に推定135メートルの豪快な一撃。打った瞬間にホームランとわかる当たりで、クレビンジャー投手はがっくり肩を落としていた。ちなみにこの試合は8回にレフト前ヒット&盗塁(今季3個目)、9回にセンター前ヒットと「初4安打」の大活躍で勝利に貢献した。「初4安打」はMLBどころか日ハム時代にも記録してない「初」ものらしい。トラウト不在で苦しむエンゼルスを、大谷がけんめいに支えている状況だ。

 ケガ人続出で地区4位に低迷するエンゼルスは、ついにマイク・ソーシア監督の長期政権に終止符を打つかもしれない。MLB公式サイトが「今季限りでの退任」を報じたのだ。ソーシア監督はエンゼルスのシンボルだった。2000年に監督就任してから実に19年目(MLB30人の監督のなかで最長!)のシーズンだ。キャリアのハイライトは2002年のワールドシリーズ初制覇だろう。過去18シーズンでチームを7度のプレーオフ進出に導いた。今年はたまたま10年契約の最終年に当たっていた。

 大谷翔平にとっては「2刀流」を最も理解し、後ろ盾になってくれた人物だ。既に先月、大谷はもう一人の後ろ盾だったマーティン・マルドナド捕手との別離を経験している。(自身が故障者リスト入りしてる間に)マルドナルドのアストロズ移籍が決まったのだ。

 これは人材が流動するMLBの洗礼でもあるだろう。初めてバッテリーを組んだ相棒(先輩)を失い、今季いっぱいで監督さん(理解者)がチームを去るかもしれない。もちろんNPB時代の監督さん(理解者)はずっと栗山英樹氏だったから、大谷は「初」の監督退任を経験するらしい。遅かれ早かれ経験したことだとは思うけれど、ちょっと寂しさにとらわれてしまう。こういう経験を重ねて人は大人になっていくのだ。

 大谷は、ゴールドグラブ賞捕手・マルドナドとの別れを以下のようにコメントしている。ソーシア監督については球団発表がないため沈黙を守ったままだ。
 
 「個人的にはすごい残念ですけど、頑張って欲しいですし、同地区なのでまたやる機会があると思う。たくさん勉強させてもらいましたし、今度は向こう側で対戦したときに、また勉強になることがたくさんあるかなと思います」

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<えのきどいちろうプロフィール>
1959年、秋田県生まれ。コラムニスト。中央大学時代に仲間と創刊したミニコミ誌『中大パンチ』の原稿が『宝島』編集者の目に留まり、商業誌デビュー。以降、各紙誌にコラムやエッセイを執筆。網羅するジャンルは多岐に渡り、特に多くのスポーツコラムを連載。ラジオのパーソナリティーとしても文化放送、TBSラジオに出演中。

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